「懐かしいな…。」
 
 
 
俺は小さい時に、一応ここに住んでいた。
 
 
と言っても、五、六才の時に引っ越した。
 
 
でもこの町が、俺にとっての故郷だ。
 
 
 
 
「是奇、着いたわよ。」
 
 
 
そう言われて俺は車から降り、辺りを見回した。
 
 
 
 
…ばあちゃん家だ……。
 
 
何年も前の記憶が、よみがえってくる。
 
 
 
「…是奇、随分と成長したものだね。」
 
 
後ろから懐かしい、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 
 
「ばあちゃん!」
 
 
俺は、声が聞こえた方へと駆け寄った。
 
 
「元気にしてたか、ばあちゃん?」
 
 
「わしはいつだって元気さ。」
 
 
 
ばあちゃんは笑いながら言った。
 
 
それにしても、昔より背がかなり小さくなっている。
 
 
…って、俺が伸びたのか。
 
 
でも背は違っても、昔と同じで優しいばあちゃんのままだった。