「その日はインターハイ前日だったの。
 
私はいつも通り、華音と二人で下校したわ。
 
 
でも…その日私にぶつかってきたのは、自転車なんかじゃなかった。」
 
 
高橋は自分の足に目をやった。
 
 
「…トラックが私に一直線に突っ込んできたの。
 
 
それで私は意識不明の重体。
 
一週間その状態が続いてたのよ。
 
 
当然インターハイも棄権して、私の努力は無駄になったってわけ。」
 
 
 
高橋はため息をついた。
 
 
 
「で…でも、助かっただけ幸せだろ。」
 
 
俺は慌てて声をかけた。
 
 
「…助かった…か……もし陸上に復帰出来なくなったとしても、幸せだと言うの?」