自覚がある夢というものは、ある意味嫌なものだ。

 自由になると思っていても体が重いのだから。

 暗闇をトボトボと歩いている剛の目の前に、ふいに人影が現れた。

 目を凝らす──

「!? げっ!? なんであんたが?」

 それは、昨夜見たジェティスとかいう奴だった。

 相手もこちらに気が付くと、

「ヤレヤレ……」といった態度で剛に発する。

「まずいな、俺の波長に合っちまったか? とりあえず帰れ。ここにいると消滅する」

「なんのことだよ? おい!?」

 ジェティスが左手をゆっくり振ると、剛の体は後ろに引き込まれて意識が遠のいた。