息は出来るようだが、この世界に空気があるためかデイトリアのおかげなのかは解らない。

 地面は本当にただの荒野で、舗装された道路がある訳でもない。

 いくらなんでも、建てる方向くらいは揃えてもいいような気がした。

 建てられている間隔も大きさも方向も造りも、みんなそれぞれにみごとにバラバラである。

「なんか随分適当に建ってるね」

「やはりそう見えるか。実際、適当に建てたらしいからな」

「は?」

「こういう処は闇の神は楽天家でね。秩序が無いという訳ではないのだが、適当さが目立つ」

「そういうのって有りなの? 絶対神て人はそれで怒らないのか」

「彼はそういう処は奔放で自由にさせている。自分も自由にしているからだろう」

「それで成り立つの?」

「当然だが、適当なだけでは成り立たんよ」

 そんな会話をしながら促されるように歩いていると一際(ひときわ)、大きく存在感のある建物にたどり着いた。