少し前髪にクセのある彼女の黒髪は、思わず触れてみたくなるほど艶やかだ。

 すらりとした体型は、外を歩けば目を引くほど上品に動く。

 確かに、男ならほっとかない容姿をしていると思う。

 このしゃべり方も、個性といえば通じるだろうし案外、気品があって気に入られる口調かもしれない。

 気品というより偉そうって感じだけど、不思議にムッとする感覚は無い。悪く言えばジジ臭い。

 彼女の気を引こうと色んな人から贈り物が届くのだが、デイトリアはそれをいつも送り返していた。

 中身といえば、くそ高そうなアクセサリーやドレスにパーティの招待状などなど。

「もらっとけばいいのに」と剛が言うと、

「着ける機会が無い」と応えた。

 どうやら、チャラチャラしたものは好きじゃないらしい。

「売ればいいじゃん」とも提案した。