「作れんの?」

「お前、とことん失礼だな。デイトリア様の料理はプロ並みだぞ」

 確かに匂いはすごくいいけど……。剛は料理をしているデイトリアを見やり、
「もしかして、俺が記憶を消してくれって頼むのを待つつもり?」

 皿に料理を盛りつけながらデイトリアは微笑んだ。

「よくわかったな」という顔つきだ。

 そして、何事も無かったように続ける。

「私の事はデイと呼んでくれていい」


 こうして、奇妙な同居生活が始まった──