彼女を傷つけたくないという感情と、後ろめたさだけで追いかけるなんて出来ない。

 真里を傷つけたことで剛の心も傷ついていた。

 それでも、後戻りは出来ない。

「ごめん」

 か細くつぶやく。

 剛はそれから、薄暗い部屋でただ黙って頭(こうべ)を垂れた──