「あのさ」

「なんだね?」

 言いにくそうにしていた剛だが、意を決して口を開く。

「さっき、あいつらがマクバードのこと籠の鳥って言ってたけど」

 敬称は必要ないと言われ剛も初めの頃は躊躇いがちに呼んでいたが、今では慣れたものだ。

「事情を知らぬ者は多いのでな、そう見えるのだろう」

 柔らかに微笑んでそう答えるが、その瞳には愁いが薄く映し出されている。

 仕方がないとつぶやきつつも、それを納得している訳じゃないんだろう。

 ここでただ眺めているだけなんて、つまらないことくらい解る。

「こんな殺風景な場所じゃなくてさ、もっと明るい場所にいればいいのに」

「それでも長居は出来ないのだ。この場所が私に安定をもたらしているのは、私がそのために創った世界だからなのだよ」