「!?」

 男が声を出す暇もなく、何かが剛の顔をかすめた。

「うっ!?」

 男はそれを避けるように後ずさる。

 どうやら、マクバードは自身の爪で攻撃をしたらしい。

 よくも避けたと感心するように目を細めた。

「チッ」

 男は舌打ちをし、口の中で何かをつぶやくと数人の男たちが現れた。

 そうして現れた男たちは、状況を見て顔をしかめる。

「なんだ、やっぱりダメだったのか。あれだけ息巻いておいてよ」

「うるさいな、子供っぽいって聞いてたのに、とんだ猫かぶりだぜ」

 剛をぐいと引き寄せ、今度は別の男の切っ先が剛の首に突きつけられた。

 なんだか、さっきよりもマクバードが怒っているように見えるんですけど、人質は逆効果ですよとこいつらに訴えたい……と、剛は念を送るように男を見つめた。