「申し訳ございません」

 スーアサイドは、素直に頭を軽く下げて1歩、後ずさる。

「私に何をさせたい」

「理解のある奴は好きだね。なに、簡単さ。わたしが神族の長だとあなた自らが彼らの前でおっしゃってくれればそれで済む。反抗する者がいれば、その力をお示しくださればいい。神といえど、あなたの力をもってすれば一瞬で無に帰す」

 瞼を閉じて聞いていたマクバードだったが、静かに目を開くと、その男を睨み付け上着を脱ぎ捨てた。

 男は驚き、「これが見えないのか」と剛の首を掴んでいる手をマクバードに見せつけた。

 そのことでマクバードをさらに怒らせたようだ。

 彼の周囲に風が渦巻き、流れる黒髪がしなやかになびく。

「つくづく愚かだ。動かずとも貴様を倒す事など容易いというのに、それほど私と闘いたいとみえる」

 噛みつぶすように淡々と発した刹那──マクバードはすでに男の目の前に立っていた。