今日私は死にました



服はさっき病院に行く時と同じ格好。



緊張はしているがお洒落なんてする気は起きない。だってこれはデートじゃない。



低めのヒールのパンプスを履いて、まだ少し肌寒い外をさっき着ていた上着を羽織ってファーストフードに向かう。



近くもなければ遠くもない。



歩いて10分ちょっと、タクシーを使うまでの距離でもない。



当たり前に流れる大量の車の騒音に眉をしかめながら目的地へと急ぐ。
カツカツと音を立てて道を歩くが、正直外に出るのが嫌いになっている。



誰に会うか、何処でどうなるか。



自宅以外の空間は周り全てが敵に見える今の私の現状だが、雅巳君は私の味方だとは到底思えない。



なのにその彼の為に、歩くスピードを早めているのが可笑しな話だよね。



ブローされた髪の毛が風で少し乱れていくが、化粧さえ崩れなきゃ良いやと思うのが今の本音だ。