流れ作業のように完成した工作品の顔。
コンシーラーはいつもの二倍つけたかもしれない。塗りたくってますと言わんばかりの目元の周りの濃さに顔のバランスが悪く見える。
だけど今更修復するのも面倒臭い。
マツ毛の根元ギリギリに書いたアイライン、マスカラも久しぶりにつけた。
昔なら一ヶ月に一度、マツ毛エクステをつけてはクリンと上がった自分の目が好きだったのに、エクステは気付いたら全て取れていて短く少なくなった自マツ毛をいじったのは本当に久しぶりだった。
眉毛も久しぶりにお手入れした。
半年も放置しているといくら薄くなった眉毛でも無法地帯に生えていてだらしなすぎた。
美人じゃないとは自覚しているが初めて会う人に顔のレベルを笑われるのは誰だって嫌だと思う。
必要最低限顔を整え、彼からの電話をただ黙って待つ。
本当は来ないんじゃないの?と不安もあったが、それならそれでクレンジングすれば良いだけの話だ。
と、強がってみたものの久しぶりに起こる高まる緊張でまた息苦しい。
会う前に過呼吸になってる場合じゃない。紙袋で二酸化炭素を吸ってる場合じゃない。
まとわりつくかのように極度の緊張と、優ちゃんの優しい顔。
消えない、消えろ
消えない、消えないで、
優ちゃんの幻影は消えないで。
矛盾な思考回路はいつまで続くの?精神安定剤は今は飲みたくないよ。



