「……ごめんなさい。」



「だから僕の都合はお構い無しだねって言ったんだよ。お気に入りのお客だったんだけどな。」



「彼女じゃないの?」



「あいにく時間を縛られてるみたいで彼女という存在は性に合わなくてね。」



「喋ってる間に頭の回転が早そうな雅巳君なら予定はもうたてたでしょ?行って良いかしら。」



「頭は悪くても回転が早いルイには敵わないね。まずは顔合わせしようか。女性を電車で来させるのは嫌いだから迎えに行くよ。電車の時間からして住んでいるのは〇〇かな?」



「いいえ?その二つ隣街の〇〇よ?」



「計算?」



「興味も持たれない男に素性を教えても意味が無いかと思って。」



「ハハハ!いいねいいね!迎えに行くよ!ルイみたいな意味の無い計算する女は空回りしてるみたいで嫌いじゃないよ。待ってて、近くなったら電話する。」






所々にトゲがあるなぁ、この人。



何の為に?どうしてその言葉が?



彼は一体どんな人なの?




彼に興味が湧くのは当たり前だと思う。彼の放つ言葉で今の私が成り立っているのも事実なのだ。










「今日はまだ、君の死に顔は見ないから。」



なんとなく気付いたことは、彼の声に感情があまり感じないこと。



「わかった。」



私も同じか。