目を覚ますと、少し乱れたリビングにお腹に打撲のような鈍痛、熱いくらい痛みを感じるアゴと後頭部。
身体を起こすと少し目眩までする。
一体何が起こったのか、アレは夢だったのか。
一頻り周りを見渡すと、彼がソファでうとうとしている姿を見つけて痛みを感じる身体で彼に近づく。
「……………ねぇ。」
彼の肩に手を置くと、彼が上半身全体で身体をビクッとさせて私の姿を確認させて、長いため息を吐く。
何があったの?と聞いてしまいたい程、記憶が一部抜け落ちている。
「………ルイ、ごめんな。」
彼の謝罪の理由が見当たらない。
そのごめんねは、私のあちこち感じる痛みに関係が有るの?それともこの乱れたリビングは彼のせい?
「………………弥生。」
弥生?
「ルイっ!止めろっ!!」
「殺してやるっ!!アンタなんか殺してやるっ!!!」
「キャァァァァァッ!!」
金属バットを力一杯上から降り下ろして、弥生の細い腕で精一杯防御している顔面を狙う。
ドンッ!!と、少し低音な音が部屋に響き渡る。バットは顔面に当たらなかったが弥生の腕にモロにヒットして、腕を押さえて小さくうずくまるその上からまた、力一杯上からバットを降り下ろそうとした瞬間、
「弥生っ!!」
彼が弥生を庇い、さっきよりも強く降り下ろしたバットは彼の背中に、ドゴン!と濁った音が鳴った。
「優っ!!優ーーっ!!」
弥生が悲鳴のように彼の名前を叫んでいるが、そのキィーキィーした声が耳障りな上に私の彼の名前を呼んでいることに余計に目が据わる。



