「ありがとうございました!」




首もとがスースーする前下がりの髪型。前髪も切って視界が広がったがやけにそれが嫌になる。人混みが苦手になったあの時から乗り物も極力避けてはいたがやっぱりそうもいかない。





息苦しくなる姿を周りに見られて同情してもらいたい醜い願望が心のどこかにあった。





だって私可哀想な女になりたいから。





だって私死にたいから。













携帯を取り出して画面を見ても誰からも連絡が来ていないことに、猛烈に寂しくなるが連絡が欲しい相手は決まっている。




優ちゃんと雅巳君だけだ。




自宅に帰る道のりの景色をバスからぼんやり眺めては、優ちゃんがいまだに支払い続けているあのアパートにまた、一人帰る。




軽くなった髪型、嫌な部分も切れたら良いのに。