「あれ?ルイさん、良いことあった?」







心療内科のおじさん先生が私の顔を見て向かい合わせで話す。




「いえ……。特に。」



「そう?顔色良いから。」



「光の加減ですよ。」



「ハハハ!ライトアップされなくてもルイさんは美人だから光の加減ではないよ。」




いつもならこの先生と雑談はしない。薬の処方と他に薬を追加して欲しいと先生を困らせてばかりいた会話しかしていない。




「眠れるかい?」



「昨日は……薬無しで眠れました。」



「そうか。良いことだな。」





ここの診察室は癒されるアロマの匂いが軽くして、乱れた心をいつも落ち着かせてくれるが、今日はいつも以上に自分は穏やかだなとやっぱり感じる。




「先生……、急に目が良くなったみたいに周りがハッキリ見えるんです。変なのかな。」




先生はニコっと笑って私に言う。