飲めなかったブラックの味。 だけど優ちゃんと同じ味を共有したかった。 慣れていく苦味。 苦いのに深みがあるように思えてきた。 お揃いのマグカップで同じ珈琲を飲んで、彼と過ごす朝が当たり前にずっと続くと思っていた窓から溢れる朝の穏やかな光。 ずっと、 ずっと続くと思っていた。 ブラック珈琲、美味しいよ。 私が入れたから。 ねぇ、優ちゃん。 今は弥生の珈琲が一番ですか? カップを持つ手が震えるほど、思い出してしまうあの頃に、 何度戻りたいと願えば良いのだろうか。