作る料理は一人分。



だけど食器棚にあるのは二人分のお皿やコップの食器類。




「いただきます。」




手もキチンと合わせてのご飯を食べる儀式を欠かさず過ごしてきた。
習慣というのは大事でもあるが、この状況はあまりにも寂しすぎてなんだか情けない。




「……美味しい。」




久しぶりに作ったメニューはカレーライス。食欲がそそるような香ばしい匂いにわざとに辛くしたスパイスの効いた味。
福神漬けが無いとおかわりしなかった優ちゃんの福神漬けは買っていない。




一口一口、噛み締めて食べた。




小さくなってしまった胃の為に、少しだけしか盛らなかった量だったが食べる手は止まらない。




そして、涙も止まらなかった。