携帯を置いて、中身をわかっていながらも冷蔵庫を開けて直ぐに閉めた。




半年以上賞味期限の切れた牛乳に、いつ買ったかわからない卵にたまに口にする白菜の漬け物とミネラルウォーターしか入っていない。




42キロ……。




三日間でもまともに食事を取れば直ぐにその体重になれるだろう。
そうしたらまた、雅巳君に電話を出来るんだ。




私の願いを叶えてくれると約束した彼に。




私は部屋着から私服に着替えて、財布を持って玄関を出た。




夕方の空は夜にゆっくりとその姿を変えていくのを、直接外の空気を肌で感じながらこの目で見た。




買い物に行くときは、


二人分の材料だった。




仕事帰り、エコバッグをぶら下げ、彼の好きな献立を疲れた身体でも怠らなかったいつかの夕方を、今日は一人。




そしてこれからも、




一人。