具合の悪さと戻りたくない気持ちでけっこうな時間を此処で過ごしてしまったが、こんなに戻ってこないお客を店側も不審に思われても嫌なので憂鬱な足を嫌々進める。
だけど店内に戻るとあの二人の姿は無く、テーブルには珈琲が飲んだ形跡があった。
………良かった。
居ない安心感で、さっきまで必死に詰め込んで一度は吐いてしまったペンネを今度はゆっくり口に運んだ。
美味しい。
冷めてしまったが、濃いかと思ったトマトクリームはまろやかな味で弾力のあるペンネが一口噛む度満足していく。
残り半分だったので、その味にゆっくり味わってなんとか食べきれた。
店員が食器を片付けに来て、暫くすると頼んだ紅茶が運ばれ胃を休める。
閉店時間は知らないが、なんとなく店を片付けている雰囲気だったので長居はしちゃいけないとレジに足を運ぶ。
おばさんはレジに立つ私に気付き、先程と同じ笑顔で
「お会計はもう済みましたよ。」
と、私に伝えてきた。
「え?あの……?」
「えぇ。先程いたお客様からこちらの分も一緒にと。なので大丈夫ですよ。」
「………………………。」
ずるい人ね。雅巳君。
やっぱり私に気付いていたのね。本当に貴方には敵わない。
「あと、コレもと。」
「………………?」
メモ紙を渡され、私はその紙を見た瞬間、店員に泣きそうになりながら直ぐに
「た……タクシーお願いして良いですか?」
と、かすれて消えそうな声でお願いした。
「えぇ。どうぞ席で待ってて下さいね。」



