味なんて全くしない。
お皿と顔を極力近づけて顔を見られないように食べているから余計に味覚なんて感じない。
ハーフサイズのクセになかなか減らないペンネに苦戦してしまう。ただでさえ胃が小さいのに。
お水と交互に食べているから直ぐにお腹は膨れて無理矢理口に押し込むと、軽い嗚咽までしてしまう。
こんなに苦しい思いをしているのに、雅巳君は仮面のような笑顔で楽しそうに会話をしている。
こんな思いなら、あの時セックスをした後の扱いの方が全然マシだよ。
優しさは感じられなかったけど、それでも私を見てくれていたもの。
こっちの方が断然惨めだよ。
情けないじゃない。
必死にバレないように顔を隠し、苦しい思いをして食べ物を詰め込んでいるなんて。
愛しい人を目の前に、彼は別の女性と重なる予定を聞いているなんて。
怒りすら出せないこんな悔しさなんて、
右手を持つフォークが震えてしまう。唇も。
わかってる、次は涙が出ることは。わかってる。



