「おかえり。過去に行ってきた?」
ハッと彼の言葉で我に返る。
白い壁にどんどん温度が下がるお湯の温度、湯気はほんの少しだけ。
「お湯入れようか。」
彼が蛇口に触れようとするが、私は
「まだいい。こうして寄り添っていたら温かい。」
お湯を入れて温かくなると身体がのぼせてここから出ることになるのをわかっていたから、少しだけ我儘を言って彼の肌に触れていた。
思い出したくもない過去は、優ちゃんだけではないことに結局私はいつも一人だったんだと気付き、彼の白い肌にピタリとくっついた。
私は誰からも必要とされていない。
死にたくなる理由が消えてはまた新しく出来る。生きていてもしょうがないのでは?自分で自分に問いかける。
そうだね、
私にはもう存在価値は無いのかもしれないね。
雅巳君の腕は、ずっと私を抱き締めてくれていた。君の温もりを最期に、君と出会えたことに感謝して、
そして君の手でどうか、私から生を奪って欲しい。



