「写真の男があそこにいたね。倒れたルイをお姫さま抱っこしてわざとに横を通ってあげたよ。青白くなったルイを見てたからちゃんと言ってあげたよ。」
「………なんて?」
聞くのは怖い気がするけどここまで聞いて興味が湧かないわけがない。
「何見てんの?見せ物じゃないよ。って言ってあげたよ。」
「意外と普通っ!!」
彼のトゲがある言葉を予想していたから意外過ぎて手を叩いて笑った。彼も笑っていた。
「僕の女に何か用?とか言って欲しかったら引き返して言ってあげるよ?」
「………………。」
手を叩いて笑った顔が思わず止まる。それは…ちょっと…とそこまで雅巳君に迷惑をかけるつもりはない。
正直あの二人の姿を見てもう二度と過去に戻れないんだと受け止めた自分がいた。
本当に一緒にいるなんて思ってるようで思っていなかったから。
過去にすがりついていたあの頃の私は、今日で最後でありたいと願う。
「ありがとう雅巳君。」
「ありがとうじゃないよ。ルイが狂ったせいで僕の空腹は限界だよ。出前でも取りますか。」
「私お寿司が良い。」
「はいはい。納豆巻き五人前ね。」
アハハハハ!とまた響き渡る笑い声。
ごめんね、雅巳君。
きっと私は貴方を好きになると思う。でも言わない、言えない。
嫌いなモノだらけの貴方の【嫌い】なことだと思うのをわかっているから。
これ以上大きくならないよう抑えておく。貴方への感情。
堕ちるところまで堕ちた。これ以上の絶望を味わう気力も強さも何もかもが壊れてしまっているから。
雅巳君の手で、
貴方への感情を押し殺して、
貴方に殺されるのを待つことにする。



