紫やオレンジかかった空の下、鼻唄まじりに歌う雅巳君の横を並んで歩く。
外の匂いは今は嫌い。まっさらに綺麗な清々しい空気を感じると、自分のドロドロとした感情がやたらと重くのしかかるから。
なのに今は何も感じない。
感じないのだ。
白い肌が夕日に照らされ、彼が眩しくそしてまた思う。
――――不思議な人だと。
背の高い雅巳君は歩く歩幅も大きく、そして早い。置いていかれそうだ。追い付くのに精一杯だ。
人に合わせて歩くことなどしなさそう。悪いことではないけど、手を繋いでいたあの頃が思い出して切ない。
繋いでいない右手が切ない。
繋いでいた右手は何処にも居ない。



