「なんか言ったか?」

「いや、別に。」

聞こえてなくてよかった。

「で、お前着替え持ってねぇの?」

当然持ってるわけがない。持ってきたのは注射器と薬だけ。

「持ってない。ごめん。神山星流。」

「なんでフルネームなんだよ。普通に星流でいい//」

何自分で言っときながら照れてんの(笑)
星流・・・ね。

「わかった。星流。」

「仕方ねぇ。買いにいくぞ。」

「お金もってない。」

お金がなかったら何も買えないじゃん。

「知ってんだよ。そんなこと。服や必要なものは買ってやる。
 だからこれ着て待ってろ。」

渡されたのは男物のジャケット。
ふんわりした・・・落ち着くような匂い。
上から着てみると、少し大きくてちょうど血が見えないぐらい。

ちゃんと考えてくれてるのかな・・・


ドクン・・・ドクン・・・ 
早くなる胸の鼓動。
熱くなる顔。

「何・・・これ。」

私がこれの正体に気付くのはもう少し先のこと。