どこか遠くにいくんだ。遠くに・・・
そしたらすべて忘れられて、自分の思うままに楽しく生きられるんじゃないか。
そう思った。
でも、走っても走っても絶望感と不安はしつこくついてくる。
「う゛。気分悪い。」
そう呟いてしゃがみこんでももう誰からも声をかけられることはない。
「そっか。一人だ。」
今の私には兄もいない。いるのは体をむしばんでいく病魔だけ。
息も続かなくなってきて体はもう走れないと悲鳴をあげているのに。
「走らなきゃ。」
とにかく逃げなきゃいけない。そんな感情に駆られ、重い体を無理矢理起こして走り続けた。
「う゛。ゲホッゲホッ。」
咳をしただけで口から血が出てくる。
前まではこんなことなかったのに。
間違いなく私の体は病気に壊されていっている。
そう確信した。
「もう・・・どうでもいい。どうせ死ぬんだ。」
日は沈みはじめ、心も体も完全に疲れ果てた。
そしてそのまま意識を手放した_____
