~可憐side~


ピッピッピッ・・・
真っ白な部屋に機械音が響く。

「可憐さ~ん。お医者様がお話があるそうなので、診察室におねがいしますね。」
「了解です!」

私は星可憐。16歳。高2。
中学3年生の時から病魔に侵されて、それからずっと入院。
退院したら高校に行きたい。そんな夢を持って毎日治療に耐えてる。

今日は検査結果の発表かな?
病気も治ってきてるって言ってたからそろそろ退院か(笑)
なんて思いながら歩いているとあっという間に診察室の前。

「失礼しまーす。兄さん、何?検査結果?」

星聖也。これは兄の名前でこの病院の医者。私の主治医。
'退院できる'という言葉を期待して、兄が口を開くのを待つ。

「可憐。ごめん。」

兄の震えた口と急な謝罪の言葉に驚く。

「何?なんで謝るの?退院の話じゃないの?」
「・・・。」

聞いても黙ったまま。
ただただ沈黙が続いた。

「ねえ。何?話があるんじゃないの?早く言ってよ。」

静かな部屋に少しキツイ私の声が響く。

「あのな、よく聞け。」

ようやく話し始めたと安心した時、信じられない言葉を耳にした。

「余命・・・あと半年だ。」

ハ?ヨメイ?ダレノ?
いろんな疑問が頭をめぐる。

「余命?誰の?」

私が発した言葉にごめんごめんと言いながら兄は泣き出す。
まさか・・・私・・・?

「うそ。嘘なんでしょ!?冗談はやめてよ!!
 治ってるって言ったじゃない!」

混乱と怒りと絶望に駆られ、詰め寄る。
何も発せられないまま時間だけが過ぎていく。
そっか。ホントにあと半年なんだね。
治るって言ったからどんな治療にも耐えてきたのに。

「・・・もういい!!!!」
「おい!可憐っ!」

病院から飛び出した。
病気からも治療からもすべてからも逃げ出したくてただただ走った。