「あの…、バレンタイン前のときに助けてくれて、ありがとう」 「え?…あ、あのときか。べつに、それぐらいでお礼はいいよ」 それぐらいじゃないの。 あたしにとっては、とても…とても嬉しかったの。 「あのときは…、本当に困ってたから…」 「そっか。じゃあ、どういたしまして?」 「うん。本当にありがとう…」 「じゃあ、そろそろ戻ろうか」 そう言って赤尾くんはあたしの横を通り過ぎて、 歩いて行ってしまう。