「はぁ…、はぁ…」

やっと、見つけた。

「あか、お…くん…」

赤尾くんは三分咲きの桜の木の前で立っていた。

「本田、どうした?」

あたしの名字…、知っててくれたんだ。

「あ、あの…」

夢中で探していたから、話すことなんて考えていなかった。

「ん?」

赤尾くんは今までと違って、優しくあたしを見ていた。