「な、何?」
「あ、いや…空からでいいよ」
私は…何を言おうと…してたんだっけ?
今は…頭の中があの笑顔でいっぱいで…
この静けさをどうにかしようと咄嗟に出てしまっただけ…
「ううん、咲から言って?」
「……あぁ」
少し俯いている彼。
長い前髪が俯いているせいで顔を隠す。
……表情が、見えない。
「…咲?」
黙り込んでしまった彼を私は見る。
長い前髪の少しの隙間から、見えた…彼の、哀しい顔…
16年間、一緒に居た中で…一番哀しそうな……
そう、私はその哀しそうな顔の理由を聞けばいい。
ただそれだけでいいんだ。
なのに………

