「咲、今日いつもより頑張るね?」
いつも、こんなに頑張らない。
教室には残るけど、こんなに長引いたことはない。
いつも一緒に帰ってるから、今日はいつもと違う事に気づいた。
「…ちょっと、な」
ハハッと笑った咲を見て、私はホッとため息をついた。
さっきみたいに、悲しい笑顔じゃなかったから。
安心、した。
「空、前から思ってたんだけどさー…」
「なに?」
「空はさ、なんで俺と一緒の高校に入ったの?」
高校…?
咲は手を休めることなく、私に言い続けた。
「空、最初この緑川じゃなくて西南高校だったんだろ?急に志望変えたじゃん?なんでだろーって思って」

