シンとなる教室に、彼がペンを動かす音だけが響く。
私はソレを黙ってみていた。
「…空、お前そろそろ彼氏つくんねーの?」
「…余計なお世話」
彼氏…かぁ。
「……そうゆう咲は?女の子から、いっぱい告白されてんでしょ?」
咲はずっと机に向かったまま、私と目線を合わせない。
「んー?俺?…俺はー……」
一瞬、ピタッと彼が手の動きを止める。
「…?」
「俺は、そのうち出来ると思うから…」
少し寂しげな表情をした彼を見て、私は不思議に思う。
彼は今、一瞬笑った。
笑ったけど、それはとても…寂しそうな表情で、今にも泣き出しそうな笑顔だった。