オレンジ色の教室で





「皆には明日先生から伝えてもらう」



淡々と喋り続ける咲。




「…明日の朝に、飛行機で発つ」




それを冷静に聞き入れている自分が、憎かった。






「……どこ行くの?」




喉から振り絞った言葉。





「…アメリカ、そこに親戚の日本人が住んでて、そこにお世話になることになった」


「…なんで…?」


「親父が…仕事で向こうに単身赴任で行こうとしたんだけど…」



咲が勉強していたノートを見る。


英語の…教科書…




そういえば、最近やけに英語ばっか頑張ってるなって…




「父さん、多分長年こっちに戻って来れないから…家族で行こうって事になって…」



咲は、教室の窓から遠くを眺めるようにしていた。