俺は立ち上がり家に帰った。

その日は花蓮の事で
頭が一杯であまり寝付けなかった。

次の日
俺は学校に来たが
教室には行かず屋上に行った。

屋上は
春の暖かな風が
吹いていて心地よかった。

しばらく寝るか。
俺は目を閉じた。

ガチャ

ん?
ドアの開く音が聞こえた。

足音がドンドン近づいてくる。
足音は俺の頭の上で止まった。

ゆっくり目を開けると、

「おはようございます!」

『うわっ!』

耳元で、でかい声が
聞こえたから
俺はビックリし、声が出てしまった。

「あはは♪驚かせてごめんなさぃ。教室行きましょっ‼」

俺の目の前にいるのは
昨日見た笑顔で俺を見ている
花蓮だった。

『なんで…』

「冴島 豹芽くんですょねっ? 私と同じクラスなんですよ‼しかも、席は前後です‼」

聞いた事とは
違う答えが返ってき、笑いが出た。

『…クスッ』

「うわぁ…」

花蓮な突然顔を赤くし、
俺を見つめていた。

『どうした?』

「いや…かっこいいなと思いまして…私、みんなの噂しか聞いたことがなかったので…」

花蓮はたぶん
あんまり男慣れはしてないんだな。
慣れていたらこんなストライクに
言葉が言えるはずがない。

『彼氏いんのに、他の男にそんな事ゆうなよ…』

俺は恥ずかしくなり
無愛想な言葉を言ってしまった。

「え?私、彼氏なんていませんよ?」

『昨日一緒に帰っていた男は?』

「あれは、お兄ちゃんですよ♪お兄ちゃん、シスコンなんです。笑 恥ずかしいですけど…」

なんだ…兄貴だったのか…

「私の家、親がいないんです。私が小学生の頃、二人とも事故で亡くなってしまって…すいません。こんな話してしまって。」

花蓮は
悲しい瞳で俯いていた。

『俺ん家も母親いねぇんだ…まぁ、捨てられたんだけどな…父親は金でなんでも解決する糞野郎だ…兄弟はいねぇし…』

花蓮は徐々に近づき、

『……っ‼』

花蓮は俺を抱きしめた。
「そんな瞳をしちゃいけません。豹芽くんには、私がいます!母親はいなくても、私が今側にいますから!」

花蓮は涙声で
俺に言った。

俺を抱き締めた、花蓮の体は
小刻みに震えていた。

『…ありがとな。』

花蓮はそっと俺から
離れた。

顔は涙でぐちゃぐちゃだったが
今まで見たどんな泣き顔よりも、
一番花蓮の泣き顔が綺麗だった。