俺はあてもなくブラブラと
歩いていた。

はぁ…
花蓮に会いてぇよ…

すると、

「豹芽ーっ‼」

後ろから、一番会いたかった人の
声が聞こえた。

振り返ろうとすると、

『ッてぇ‼』

花蓮は俺に突進してきた。

「どうしたの…?」

『別に…』

「まさか…お父さんと何かあったの?」

花蓮は鋭いな…

『花蓮はなんでも分かるな…』

俺は俯き悲しげに笑った。

「…豹芽っ…グスッ」

花蓮はあの時と同じように
俺の体を優しく抱きしめた。

「豹芽…そんな悲しい目をしないで…前にも言ったよね?豹芽には、私がいるから…グスッ」

花蓮の声が震えている。

花蓮…

『ありがとな…』

花蓮は俺から体を離し
顔は涙でぐちゃぐちゃだったが
今まで見た泣き顔で
一番美しかった。

「私ん家ここから近いけど、来る…?」

『でも…迷惑だろ?』

「全然!むしろ嬉しいよ‼」

『そっか…ありがとう』

俺は花蓮について行き
花蓮の家の前まで来た。

「あっ‼言うの忘れてたけど、家の中にお兄ちゃんいるから…」

『あぁ』

ガチャ

「ただいまー」

バタバターッ!

居間からものすごい
勢いで人が出てきた。

「花蓮!遅かったじゃないかぁ‼…ってなんで冴島豹芽が家にいるんだ?しかも、なんで花蓮と一緒に?」

『こんばんわー』

「こんばんわ。…って挨拶なんかしてる場合かよ!貴様‼うちの花蓮に何したんだよ‼」

「お兄ちゃん‼何もされてないから‼とりあえず中に入ろう‼」

「それがいいな…」

『お邪魔します。』

俺と花蓮の兄貴は
椅子に座った。

「お兄ちゃん今日、豹芽泊まるから」

「はっ⁈なんでだ⁈」

「いちいちうるさい‼泊まるっていったら泊まるの‼分かった⁈」

「…はぃ」

「じゃ私はお風呂に入ってくるから」

ガチャ

そう言い残し
花蓮は居間から出て行った。

「で、花蓮とはどこまでいったんだ?もうヤった?」

なんて事を聞いてんだょ…

『ご想像にお任せします。笑』

「貴様…‼」

『冗談ですよ。花蓮とはなんもないですよ?別に付き合ってませんし…』

「本当か?」

『はい』

「おーそうかそうか‼第一花蓮は男になんて興味を持たないからな。」

『そぅすか…』

どこかでガッカリしている
俺がいた。