殺した理由

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

一人の青年は冷や汗をかきながら、自分の手を見ている。

数分間、その状態でいた。

しばらくすると、自分の手のひらを引っ掻いた。

何度も、何度も。

この不快感から逃げるように。

だが、一人の人間を殺したことには、後悔はしていない様子。



「成し遂げた」。

一人の青年は、今、そう錯覚しているのかもしれない。


手のひらを掻いている状態が続いた時間は10分くらいのことである。

すると、手のひらを引っ掻くのをやめ、もう一人だった青年を抱きしめる。

冷たい、体。

血の気のない、肌。

開かない、目。

動かない、手足。

一人の青年はそれに対して、愛しいと思ってしまった。

「・・・何だ、これ。ハハッ・・・」

一人の青年は一人呟きながら、もう一人だった青年を軽く押してしまった。

その衝動で、もう一人だった青年は力無くして倒れた。




一人の青年は四つん這いになり、もう一人だった青年に近づき、頬を撫でた。

「お前が言ってること、意味わからねぇよ・・・」

「意味を教えてよ・・・」

すると、急に一人の青年は、また泣き出した。

生まれたばかりの赤ん坊のように・・・泣き喚いた。

喚いた。喚いた。喚いた。喚いた。喚いた。

泣いた。泣いた。泣いた。泣いた。泣いた。

「な、何で・・・俺、泣いてんだよ・・・。意味分からない」

「意味が分からない・・・」



一人の青年は、両手で目を擦った。

一人の青年の目は、赤く腫れている。

一人の青年は、洗面所に向かい顔を洗った。

着ていた服も脱ぎ、新品の服に着替えた。





そして、




一人の青年は、もう一人だった青年をベッドの上に寝かせ、布団を掛け――・・・