少しだけ沈黙が続いたが、奏が話を切り出した。
奏は楽しそうに笑い、こう言った。

「ねぇ、利津はいつ起きると思う?」
「知らないよ、明日には起きるんじゃないのー?」

金髪と思われた子はやや適当にその問いに答えた。

奏は「ふーん」とそれが代わりの返事の様に。

奏は目尻を緩め、利津を見ていながら、髪の毛を梳かす(とかす)様に撫でていた。

そんな奏を見て、金髪と思われた子は相手には聞こえないように愚痴を溢(こぼ)した。

「こっんの、ホモ野郎め。」
「ん?何か言ったー?」

そんな奏を見て、金髪と思われた子は小さく舌打ちをし、内心こう思っていた。

(地獄耳め)

金髪と思われた子は歩み出し、先程、奏に「電気を点けろ」と命令されたことを遂行しようと、部屋の電気スイッチのある方に向かった。

パチッ

金髪と思われた子は電気を点けた。

金髪と確信した子は、綺麗な青い目をしていた。

碧眼(へきがん)の目という訳だ。



金髪と確信した子の名前は、秋研(あきとぎ)リア。

そして、今更ながら、奏の名前は、秋研奏。

二人はとても似ていた。

この二人は兄妹だったのだ。

二人の両親は、母が日本人、父がフランス人。

ハーフと言う訳だ。


電気を点ければ、結構広く、12畳半ぐらいあった。

部屋はシンプルで、冷蔵庫やキッチン、ソファー、ノートパソコン、洗面所(お風呂場)、トイレと言ったどこにでもある部屋であった。

その物たち以外は、何もなかった。

個々の趣味らしき物は全然ない。

あまり生活味が感じられない部屋だ。

「てか、俺風呂に入ってくるわー」

奏はそう言うと洗面所(お風呂場)の方に向かい、扉を開け、洗面所(お風呂場)に消えていった。

奏が居なくなると、リアは独り言をつぶやいた。

「これから、どうなるんだろうねー」