わたしはぽつりぽつりと話しはじめた。


ユウ太くんが山田の子供だと分かってキれたくせに、わたしはそのことをすっかり失念していた。



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入学式の日、浮き立つ生徒たちと、生徒の親たち。


別の言い方をすれば、金持ちの子と金持ち。


わたしは彼女たちにかこまれながら、これからの生活を憂いていた。


後ろを振り返ると…いた。


目の覚めるような美少女が、うっとりとこちらを見ている。


あの変た…不思議ちゃんはこれからもずっとわたしにつきまとう気なんだろうか。


美少女は出会いの一発で


うらめしーーーー!


と叫んだに飽きたらず、ほっぺにスリスリ、頭をフワフワ、わたしにつきまとっていた。


げんなりして机に突っ伏していると、教室の扉が開いて、担任の教師が入ってきた。


きゃあーーーーーーー


生徒と女性の保護者の中から悲鳴が上がった。


男性の保護者とわたしと不思議系美少女がビクッと反応する。


担任は扉のところで一瞬たじろいだが、慣れているらしく教卓につくと、何事もないようににっこりした。


「新入生の皆さん、並びに保護者の皆様、このたびは本校への入学おめでとうございます。」


きゃっ


お嬢様方がかわいらしく叫ぶ。


うえっ


わたしはカエルのごとく呻く。




「わたしはこれから三年間、このクラスの担任をさせて頂きます、山田と申します。よろしくお願いします。」


切れ長の瞳が優しくすがめられた。


きゃぁああああああ


わたしは、三年間もこの悲鳴と付き合わなければならないのかとまた気分が悪くなった。


わたしはやたらイケメンの担任を睨みつけた。


八つ当たり、だけども。