「ぐすっ、さっき叫んでた山田って、パパのこと?」


「パ……うぅ、やっぱり、ひっく、親子なんだ。」


「…グスン…うん。」


わたしはユウ太くんは、お互いの情けない顔を見ないようにしながら、ひっくひっく、グスングスンと話をした。


「ミミ子ちゃんは、ぐすっ、パ…お父さんのこと嫌いなの?」


「……うん。きら…い。」


わたしはもう一度ひくっと喉を鳴らすと、うわーーんと泣き叫んでユウ太くんに飛びついた。


「ミ、ミミ子ちゃん⁈」


ユウ太くんは、おずおずとわたしの背中
に腕をまわした。


「よしよし」


自分も泣いてるくせに、優しくわたしの背中をさする。


「グスン、グスン」


と耳元で聞こえたから、わたしもユウ太くんを抱きしめて、ゆっくりと背中をさすった。


「あのね、さっきの嘘なの。嫌いじゃないよ、大好きなの。……でも、やっぱり嫌いかもしれない、わかんないの。」


わけのわからないわたしの言葉に、ユウ太くんはわたしの肩の上でこくりとうなづいた。


「俺もね、わかんないの。大好きだけど………」



嫌いかもしれない。


最後の声は掠れていて、微かにしか聞こえなかった。