「うら、出席とるぞ。」



しばらくして入ってきたのは、俺たちの担任、赤川先生。


もやしの集団に入ってきた彼は、今日もひときわむさい。



くねくねうにようによしている俺たちヤル気のないもやし男子たちにでかい声でかつをいれる。



あれで生徒に嫌われてないんだから大した人だ。


「おら、寝るな」



俺の前の席で気持ち良さそうにウトウトしていた、相沢がふがっと反応して、またコテっとなった。


「まっ、しょうがない。チビスケ、一時間目の前に起こしてやってくれ。」


「…ハイ」


チビスケとはまごうことなく俺のことである。


侮辱だあ~僕は抗議するぞ~とやっていたのは始めのころだけで、今は受け流すことにしている。






「ユウ太、放課後つきあって。」

「ん?いいよ。」

ヒロ人が言ってきたのは、HRのすぐ後のこと。

「どこ行くの」

「ひ・み・つ」

うわーんきしょいよー

無表情なのがさらにこわいよー

「うそ、ただ梅弦之丞の新作がでるから買いたいだけ」

梅弦之丞とはヒロ人が小学生のころからはまっている詩人だ。前に読ませてもらったけど、地球人である俺の脳にもけっこう面白かった。

「わかった、んじや帰りにアイス食べよう」


「太るぞ」


女子高生か。


ツッコミを入れた瞬間、前の席で相沢が頭を机にぶつけた。

ゴーン

けっこういい音した。


まぁ、これで目も覚めただろう。