数日を24時間の変態と化っしたアユ芽ちゃんととともにやり過ごし、わたしは土曜を迎えた。


待ち合わせは出会った本屋の前。


頭のなかではさっきから我ながらきしょい妄想が絶えない。



わたしの中のヒロ人くんはもはや高校生男子ではなかった。


かぼちゃぱんつをはいた王子様。



うふふふふふふふふふふ。


わたしはしばらく自分が公衆の面前でニマニマ笑いを浮かべ、ドン引きされていることに気がつかなかった。


わたしを現実の世界に連れ戻したのは、アユ芽ちゃんだった。


「うへへへへへへへへへへ。」


隣りでこんな笑い方してるやつがいたら正気に戻らざるをえない。


「ごめんー、待った?」


右方向から声がわりしてもなお可愛い声の持ち主が駆け寄ってきた。


待ちわびたよ、エビくん!


君が来たということは、彼が、彼が…


「ユウ太、待ち合わせの時間より早く来てるのが悪いんだから、謝る必要なんてないよ。」

来たーーーーッ‼


何か性格悪そうなこといってるけど、いいの。


気にしないもん。


そこには紛れもないリアル美少年がいた。

艶やかな黒髪に赤い唇。


白雪姫もかくやと思われるその相貌。


「し‼」


「うわぁ‼」


わたしがいきなり『し‼』とか叫んだものだから隣りのアユ芽ちゃんが飛びのいた。


ちびっ子少年に出会った時、


『カッ‼」

と叫んだアユ芽ちゃんの気持ちがいまなら分かる。


(し…)


わたしはめんどくさそうな顔をしている美少年にへにゃりと微笑んだ。


(幸せらぁ~)