チャイムが鳴ると、アホ担当が眠たそうな顔で教室に入ってきた。


うわーいやだわーなんてだらしないのかしら。


わが唇をへの字に曲げていると、山田はニヤリと笑って、


「どうした、ちびっ子?ほっぺがもちみたいに垂れ下がってるぞ。」


とぬかしてきた。


わたしはここぞとばかりに、


「戸波先生に生徒をちびっ子呼ばわりすることはいけないことだと、教わったばかりではありませんですか?」


と得意になって反撃した。


山田の顔がさっと固まった。


「あ…そうだったな。」


山田は言った。


「出席とるぞー…」


山田の声に生徒たちが語尾にハートマークがつけて返事を返す。


わたしは動揺していた。


また、いつもみたいに笑って言い返してくると思ってたのに。


「うえまつ~…上松?」


ぼーっとし過ぎて山田の声に気づかなかった。