「大きくなったなぁ、ユウ太」


お父さんがしみじみ言った。


「……嫌味か」


只今素直じゃない子、の俺はひねくれた返事をした。


「いや、ほんと大きくなったよ。子どものころはほんとに小さくて、お父さんもお母さんも心配だった。」


俺は別に、身体が弱いということもなく、健康そのものだったけど、生まれた時から本当に小さくて、周囲からは随分心配されたと、お母さんに聞いたことがあった。


うちの親戚には特別身長の低い人はいない。


俺だけの、特別変異というわけだ。


俺はふと気になることがあって、お父さんに尋ねた。


「ねぇ、お父さん」


「ん?」


「女学館の文化祭に日にさ、ヒロ人になんかゆったりした?」


ヒロ人は、最近ではだいぶ(ヒロ人なりの)まともに戻ってきているが、あれは何だったんだ、という疑問が残った。


そして、結論として、お父さんに何か言われた、というのが一番あり得そうだ、という判断に至った。


「あーうーん、言った、かも」


「何て言ったの?」


「たしか……ユウ太をよろしく頼みます、とか、そんな感じのこと。」


………娘を嫁にだすオヤジか。