わたしは最近、しょっちゅうユウ太くんと会っている。


それもアユ芽ちゃんとヒロ人くんという美しい二人ぬきで。


失恋した相手の(それもおそらく、わたしの気持ちを知っている)息子と仲良くなってるなんて、妙にシュールだけど、こないだ、ユウ太くんを呼び出して会ったときに気付いてしまった。


彼のとなりはとても安らぐ。


ユウ太くんがふとした瞬間以外山田と似ていないのも助かった。


山田と似てるから安らぐんだ、なんてわけではないことがわかるから。


ユウ太くんはある日、わたしを街のショッピングセンターの空きテナントに連れてった。


そこは不思議な空間だった。


ほかの店舗との境界線は透明なガラスだから、歩く人々が見える。


通路の天井は吹き抜けだから、空も見える。


でも、そこは外界から隔離されていた。


無造作にちらばる絵の具、鉛筆、その他名前も分からないもの。


わたしは中央に置かれたデッサンに吸い寄せられた。


そこには、不思議そうな顔をして何かを見つめている女の子が描かれていた。


わたしだ。


「これって……?」


わたしはわけが分からなくてユウ太くんを振り返った。


「俺が描いたんだ。」


ユウ太くんは少し恥ずかしそうに舌をペロリとだした。



「ここのテナントはさ、もうずっとお店が入ってないんだ。隅っこで、すごく分かりづらいところにあるでしょ?明らかに設計ミスだよ。そのせいでここに入ったお店はことごとく失敗しちゃって、なんかいつの間にか曰く付きの名がついちゃったみたい。」


「……なんで、ユウ太くんが使ってるの?」


「友達なんだよ、ここの経営者の人と。」


そう言うと、ユウ太くんは隅っこから椅子を二つとってきた。


展学室にあるのと同じ、丸い小さな椅子だ。