「ねぇ、お父さん」


「ん?何だ?」


穏やかに笑うお父さんに俺はうろんな目を向けた。


「……お父さんってさ、アホなの?」


再びキョトンとした顔をする。


俺はため息をついて、ダメだこりゃ、と頭をかいた。


何が、ああ、気をつけて帰りなさい、だ。


あんなわかりやすいのに、気づいてないのかよ。


つか、何生徒相手に人生相談しちゃってんだ。


このおっさん。


腹立つことに外見はおにいさんだけど。


「んじゃ、お父さん、俺、帰るから。」


一つ早急な用事ができてしまった。


お父さんとしみじみしていたい気もするけど、それは今じゃなくていいやって思った。


また、週末はお父さんの部屋に行くことにしよう。


お父さんとの時間なんていくらでもある。


これからはまた、そばにいられる。