文化祭も終わり、何となく気だるい空気のただよう放課後。


わたしは山田に呼び出された。


いつぞやか、戸波先生と遭遇した資料室の隣の、用途がいまいちわからない、展学室。


小さい丸椅子が五個と、左右の壁に設置してある本棚に、ぎゅうぎゅうと絵本がつめてある。


HRが終わったと思ったら、半ば強制的に連れて来られたので、わたしは不機嫌だった。


「いったい、何事ですか。わたし…いまから部活行くんですけど。」


つっけんどんに言うと、山田はおかしそうに笑った。


「そうか、さぼりまくってたのに、行く気になったか。」


「もとから、さぼってませんよ。で、何ですか?手短かにお願いします。」


「……お前、文化祭終わってから、ますます俺にひどいよなぁ。」


それを聞いて、思わず山田を睨みつけた



「まぁ、えっとな、聞きたいことがあるんだよ。上松に。」



わたしの殺気に気づいてか気づかずか、山田はわたしに背を向けて言った。


「頼み、ですか。」


「ああ。」


山田がくるりとこっちを向いた。


ぐいっと顔を近づけてくる。


わたしはよけることも出来ず、固まってしまった。


目の前に山田の顔がある。


「上松って、その、ユウ太のこと、知ってるんだよな。」


真っ直ぐに見つめられ、わたしは小さくうなづいた。


「友達です。戸波先生と山田先生のお子さんのユウ太くんのことを言っているなら。」


「……お前、そこまで知ってるのか。」


「はい。」


知りたくもなかったけれど。