「ええっ?!恭子ちゃんが?!」
そう叫ぶのは私、星川奈々佳。
「そうなの!」
親友の佐藤春菜が続ける。
「恭子ちゃんが、松井くんと付き合ってるんだって!」
あぁ…。なんか置いていかれた感じ。
春菜も彼氏がいるし、他の友達もみんな好きな人がいる。
恋してないのなんて、私だけ!!
っていうか…はっきり言って
恋とかあんまり興味が無い。
私もみんなみたいに頬をピンク色に染めて恋をする時がくるのかなぁ。
そんなことを考えていると帰りのホームルームが終わっていた。
「奈々佳!帰ろっ」
春菜によばれて、慌てて私も教室をでた。
昇降口からでてみると、冷たい冬の風が私の頬をかすめる。
私と春菜は帰宅部だけど、部活がある人はもう活動を始めていた。
その時、私の頭になにか硬いものが
ぶつかった。
「ったぁー…」
しゃがみこんだ私の目に入ったのは、
爽やかな印象のサッカー部の男子。
「すいませーん!」
そう言ってボールを拾って走り去った
彼の背中に私の目は吸い寄せられた。
なんだろう…この感じ。
立ち尽くす私の髪の毛を、冬の風がさらっていった。