それを聞いた翔は、またあたしに視線を向けた。



「ここから少し行ったところに屋敷の庭があるんだ。そこに連れてく」


「あ、うん。ありがとう」




あたし達は肩を並べてお屋敷のお庭に向かった。





それにしても、お屋敷にもずいぶん立派なお庭があったけど、他にもあるなんて…


すごいな、霧沢財閥。






「…着いた。ここ」



目の前には背の高い木々が立ち並んでいた。



「え……。こ、ここ?」


あたしが戸惑っている横で、翔はスタスタ歩いて行ってしまった。





あとを追って走ると、あたしは息を飲んだ。




ー…え……なに、ここ………?


…すごい…………っ!!!






目の前に広がっていたのは、鮮やかで華やかな広い花畑だった。


何色もの花が辺り一面に咲いていて、太陽の光を全身に受けて輝いている。




その綺麗すぎる景色に、あたしは言葉を失っていた。




「どう? すげーだろ、ここ。あんまり広いのは嫌いなんだけど、こういうのは悪くないなって思うんだよ」



あたしは何度も首を縦に振った。




「ここ元は空き地だったらしいんだけど、父さんが開拓して花畑にしちゃったんだってよ。だから、この敷地内全部花畑」


「すごいっ!!! 夢の世界みたい!!」



360°どこを見ても花。



あたしは思いっきり背伸びをした。