「…んだよ、俺らになんの用だよ…」



翔は、執事さんに聞こえないような小さな声で文句を言う。




あたし達は執事さんに連れられ、ご主人様の部屋に行く。





「ご主人様、お連れしました」


「失礼します」



あたしは一礼して中に入る。




「まひるさんに翔。さあ座ってください」



ソファに座ると、執事さんが3人にミルクティーを置いてくれた。




ふと、ご主人様の視線があたしの制服に向けられていると知る。



「おや、我が学園の制服じゃありませんか。明日からまひるさんは霧沢学園の生徒ですもんね」


「はい…」


「似合いますよね」



ここでも、翔はさらっと言う。



「じょ、冗談はやめてください!」


「本当のことですよ?」


「仲がよろしくていいじゃありませんか」


ご主人様は、はっはっ、と肩を揺らして笑った。





「…まずは、まひるさんに伝えておかなければならないことが」


「…なんですか?」


「申し遅れましたが、霧沢学園は我が霧沢財閥の学園です」


「っ!!」




やっぱり!

朝日も言ってた…!!




「あの…」



それはまだいいとして、あたしにはもっと大きな問題が……





「……あの、…ぉ、お金って………どうすればいいです、か………」



ご主人様は一瞬目を見開いて、そしてすぐ笑った。




「さすが徹のお子さんだ。気になさらずに。全てこちらで負担いたします」


「えっ!」



そんな、悪いよ…………