やがてあたしの部屋にも夕食が運ばれてきた。
紗羅ちゃん、頑張ってるかなぁ……
きっと今頃、翔の部屋に2人きり………
…あ。
いいこと思いついた!
これで、あの危険キャラの翔の真実がわかる!!
あたしは夕食を厨房に戻しがてら、紗羅ちゃんの話を聞こうと待つことにした。
時刻は18時30分。
「あれっ? まひるちゃん!」
「紗羅ちゃん!」
紗羅ちゃんのご登場です。
「どうしたのー?」
嬉しそうに顔を緩める紗羅ちゃんは、食器を洗いながらあたしに聞いた。
「うん、あのさ」
「うん?」
「翔さん、どうだった?」
「え?」
2人きりの時には、あたしの場合危険キャラが出てくる。
紗羅ちゃんの時にも危険キャラが出てくるなら、あたしはどんなに安心するだろうか。
「…どういうこと?」
紗羅ちゃんは目を大きく開いて、あたしを捉えた。
「だからその、翔さんはいつも通りの王子だった?」
期待して次の言葉を待つ。
「当たり前じゃない。今更なに言ってるのよ。翔さんはいつでも王子よ」
え。
「嘘っ? 危ない人になってなかった?」
「はい? なんのこと?」
「ほんとにいつもの王子?!」
「何度も言わせないでよ。翔さんは王子だったわよ」
う…そ。
あたしの期待は見事に裏切られた。



